下肢静脈瘤って?
“下肢静脈瘤”とは、立った時に脚の血管が浮き出ている状態を言います。
“下肢”は脚を指し、“静脈瘤”とは血管の一種である静脈がコブのようにふくれている状態です。
静脈の流れと弁機能
血液は、心臓から動脈を伝って脚のすみずみまで流れています。
心臓への帰り道である静脈内の血液は、立っている場合、重力に逆らって下から上へと送り出さなければなりません。
そのために大切な役割を果たすのが、ふくらはぎです。
ふくらはぎの筋肉は、収縮してポンプのように脚の血液を心臓に運ぶ役割を果たし、第2の心臓と言われています。
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さらに脚の静脈には、たくさんの逆流防止弁があり、一度送り出された血液は下方向へ逆流しないようになっています。
この逆流防止弁が壊れてきちんと閉じなくなり、血液が逆流してしまう事が“下肢静脈瘤”の原因になります。
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静脈瘤ができるしくみ
弁が壊れて逆流した血液は徐々に脚に溜まっていき、そのため静脈が太くなり、こぶのようにふくれて静脈瘤になります。
はじめのうちは静脈が太くなり、目立つだけですが、ひどくなると「脚がむくむ」「重く感じる」「疲れやすい」などの症状が出現します。
さらに進行すると、皮膚が茶色くなったり、湿疹や皮膚に穴があく潰瘍などの皮膚炎がおこります。
放っておいて大丈夫?
下肢静脈瘤は良性の病気なので、命に関わったり、心臓・その他の臓器に影響が出ることもなく、手足に障害が残る心配はありません。
ただし、放っておいても自然に治るものではないため外見が気になる、脚の症状があって困っている・辛いなど、日常生活に支障を感じたら、専門医の診療を受け、治療を考えてみてください。
統計/こんな方はご注意を
2003年に愛媛大学で行われた調査では、40歳以上の男女7,002名のうち、585名、8.6%の人に“下肢静脈瘤”が見つかりました。年齢が上がるにつれて、下肢静脈瘤が見つかる方の割合が増加しています。
また、男性3.8%に対して、女性は11.3%と約3倍も多く下肢静脈瘤の方がいました。
これは、下肢静脈瘤が妊娠や出産をキッカケにして出来ることが多い病気だからです。
また、下肢静脈瘤は、長時間の立ち仕事に従事する人にも多く見られます。さらに、遺伝性もあるため、親兄弟に“静脈瘤”の方がいる場合も要注意です。